ボーダーライン。Neo【中】
ましてや子供が出来ればパパとして見るのだから、いちいち愛だの恋だの言っていられない。
そう考え、胸の痛みが和らいだ。
ふと何処からか、強い視線を向けられている気がして、顔を上げる。
いつの間にか近くに店員さんがいて、四十代ぐらいに見える彼女は、立ち読み禁止だと言わんばかりにハタキで棚を掃除していた。
熱視線は彼女からだろうか?
あたしは週刊誌を元有った棚に戻し、何となく目線を正面に据えた。
ーーえ?
時間帯から比較的に交通量の多い国道が見えた。
その路肩に停めた黒い自動車を背に、馴染み深い女性が立っていた。
緩やかにパーマを掛けた黒髪をサイドにまとめ、彼女はにこやかに手を振っている。
「美波……っ」
あたしは偶然会えた喜びから、慌ててコンビニを後にし、親友へと走り寄った。
偶然会えた事で気分も上がり、あたしは美波と近くのカフェへ立ち寄った。
「てか、かなり久しぶりだよね~? いつ以来だっけ?」
四人掛けのテーブル席へ案内されると、隣りの椅子にコートと鞄を置き、美波が言った。
あたしも同じく荷物を下ろし、向かいの椅子へ腰掛ける。
「そうだね~。この間は確か九月で、結婚の報告した時だから。五ヶ月ぶりじゃない?」
「もうそんなになるのかぁ~」
机上のメニューを手にし、時の流れは早いと言わんばかりに、美波は肩をすくめた。