ボーダーライン。Neo【中】
慎ちゃんは笹峰優羽さんを更に褒め称えた。
「彼女、かなりの努力家だってネットにも有ったし。それなのにあんな軽そうなボーカルと熱愛って大ダメージじゃん?」
「アハハ。ファンからしたら確かにそうなんだろうね?」
何となく、可愛いなと思った。
慎ちゃんがこんな風に、芸能人のスキャンダルで口を尖らせるなんて意外で可愛いな、と。ついほっこりしてしまう。
「……でもさぁ、慎ちゃん?」
「うん?」
「芸能人の熱愛ってどこまでが本当なのか、分かんないよね?」
「あ、ああ。そうだな……」
慎ちゃんは目を伏せて、ご飯を掻っ込んだ。
デマだと親友に聞いた事を、教えてあげようか?
そう考え、何となく口を閉ざした。
あたしだけが知っていればそれで良い、そう思う事にした。
その時、テレビであの化粧品のCMが流れ始めた。
あたしはご飯を食べながら、執事に扮する彼を横目に捉え、ひそかに笑った。
檜は誰の事も好きじゃない。誰のものでもないんだ。
***