イジメのカミサマ
でもロッカーに差しかかった途端、またしても視界が眩んで色彩のない世界に私はいた。
目の前では、過去の私が自分のロッカーを開ける所だった。途端に中から大量の虫の死骸が溢れ出し、過去の私は驚いて飛びのく。
「……アンタにはそっちの方がお似合いよ」
振り向くと、先ほどのイジメっ子が右手に手紙らしきものをヒラヒラさせて立っていた。
「あなたが持っている物は何?」
「これ? アンタには関係ないものよ。だから代わりに可愛いアンタのお仲間と交換してあげたの」
仲間とはこの虫けらのことだろう。そして彼女が持っているものは恐らく――
「返して」
「だったら、力づくで奪ってみれば?」
彼女はポケットに手紙をしまい、そのまま過去の私の横を素通りしていく。
黙ってそれを見送る自分自身を見て、私は首を振った。どうせまたこの後彼女は死ぬのだからここにいても意味がない。
しかし、次の瞬間私が見たのは思いがけない光景だった。
過去の私は、急に突然目を見開くと真っすぐ前へ歩き出す。
その瞳に『0』の血文字がくっきりと浮かび上がるのが見えた瞬間――過去の私は走り出してロッカー前の花瓶を抱え上げ、昇降口から出ようとしていたイジメッ子に向けて思いきり投げつけた。
鈍い音と共に彼女は声もなく倒れ、落ちて砕け散った破片が辺りに散乱する。
鈍痛と一緒に記憶がなだれこみ、現在の私は頭を抑えてよろめく。
そうだ……この時だけは私は逃げなかったんだ。これは紛れもなく過去の私がやったことだ。
だとしたら、この後に起きるのは――
「それを見ちゃダメ!」
しかし過去の私は駆け寄って奪われた手紙を彼女のポケットから探り出すと、素早くそれを開いた。
『ばーーーーーーーーーーーーーーーか! wwwww』
目の前では、過去の私が自分のロッカーを開ける所だった。途端に中から大量の虫の死骸が溢れ出し、過去の私は驚いて飛びのく。
「……アンタにはそっちの方がお似合いよ」
振り向くと、先ほどのイジメっ子が右手に手紙らしきものをヒラヒラさせて立っていた。
「あなたが持っている物は何?」
「これ? アンタには関係ないものよ。だから代わりに可愛いアンタのお仲間と交換してあげたの」
仲間とはこの虫けらのことだろう。そして彼女が持っているものは恐らく――
「返して」
「だったら、力づくで奪ってみれば?」
彼女はポケットに手紙をしまい、そのまま過去の私の横を素通りしていく。
黙ってそれを見送る自分自身を見て、私は首を振った。どうせまたこの後彼女は死ぬのだからここにいても意味がない。
しかし、次の瞬間私が見たのは思いがけない光景だった。
過去の私は、急に突然目を見開くと真っすぐ前へ歩き出す。
その瞳に『0』の血文字がくっきりと浮かび上がるのが見えた瞬間――過去の私は走り出してロッカー前の花瓶を抱え上げ、昇降口から出ようとしていたイジメッ子に向けて思いきり投げつけた。
鈍い音と共に彼女は声もなく倒れ、落ちて砕け散った破片が辺りに散乱する。
鈍痛と一緒に記憶がなだれこみ、現在の私は頭を抑えてよろめく。
そうだ……この時だけは私は逃げなかったんだ。これは紛れもなく過去の私がやったことだ。
だとしたら、この後に起きるのは――
「それを見ちゃダメ!」
しかし過去の私は駆け寄って奪われた手紙を彼女のポケットから探り出すと、素早くそれを開いた。
『ばーーーーーーーーーーーーーーーか! wwwww』