イジメのカミサマ
「どの世界にいても卑怯な所は変わらないのね……!」
怒りのこもった眼で見上げる暦の前で、私は大きく息を吸い込むと……すっきりとした気持ちで高らかに叫んだ。
「あーあ、こよみんってホントにおちょこちょいなんだから! いい? いつだって私が卑怯なわけじゃなくて、こよみんがドジで間抜けで可愛いだけなんだよ?」
「……どういう意味?」
怪訝な表情を浮かべる暦に向かって、私は狂った様に――いや、いつもの調子で喋り続ける。
「だって情報っていう大きな武器を持っていたのに、こよみんはバカ正直にペラペラ話しちゃうんだもん。そのせいで私が本当の意味で『イジメのカミサマ』だってことが判明しちゃった」
私は掌をかざして無造作に校舎に向かって薙ぎ払うと……建物が一瞬にして、スイカの様に二つに割れた。
倒壊していく校舎を背にして、私は笑顔で告げる。
「今までは比喩表現で『カミサマ』だなんて名乗ってたけど、この世界において私は本当の意味で絶対的な力を持ったカミサマ。そして、それをのうのうと教えてくれたこよみんが可愛くて可愛くて堪らないの」
私は清々しい気持ちで彼女にはっきり告げる。
「悪いけどこよみんに私は殺せないから『カミサマ』の座はお預けだよ。これだけ下準備して頑張ったのに残念だったね。オツカレサマ♪」
「……調子に乗らないでよ。私も『挑戦者』の権限としてこの世界から力を授かっている。絶対にアンタに負けるわけにはいかない!」
勇ましい叫びと共に暦が宙に浮きあがり、目に留まらない速さで突進してくる。
いきなり特攻だなんて本当にどこまでもドジな子。でも、私の命がもうすぐ尽きるというのは本当みたい。だって、空の色がもうあんなに真っ赤になってしまっているもの。
だとしたらここで暦が焦るのは仕方ないことね……そんなことを思いつつ、私は飛んできた暦をハエでも落とす様に手を振り払った。
暦は砲弾の様に吹き飛ばされ、渡り廊下を貫通して視界の奥へ消える。どうやら反対側の校庭まで飛ばされてしまったみたい。はあ……面倒くさいな。
私が宙に飛び上がったその時、空がどす黒い赤へ変貌して渦を巻き……同時に辺りの建物が一斉に空へ向かって舞い上がり始めた。
怒りのこもった眼で見上げる暦の前で、私は大きく息を吸い込むと……すっきりとした気持ちで高らかに叫んだ。
「あーあ、こよみんってホントにおちょこちょいなんだから! いい? いつだって私が卑怯なわけじゃなくて、こよみんがドジで間抜けで可愛いだけなんだよ?」
「……どういう意味?」
怪訝な表情を浮かべる暦に向かって、私は狂った様に――いや、いつもの調子で喋り続ける。
「だって情報っていう大きな武器を持っていたのに、こよみんはバカ正直にペラペラ話しちゃうんだもん。そのせいで私が本当の意味で『イジメのカミサマ』だってことが判明しちゃった」
私は掌をかざして無造作に校舎に向かって薙ぎ払うと……建物が一瞬にして、スイカの様に二つに割れた。
倒壊していく校舎を背にして、私は笑顔で告げる。
「今までは比喩表現で『カミサマ』だなんて名乗ってたけど、この世界において私は本当の意味で絶対的な力を持ったカミサマ。そして、それをのうのうと教えてくれたこよみんが可愛くて可愛くて堪らないの」
私は清々しい気持ちで彼女にはっきり告げる。
「悪いけどこよみんに私は殺せないから『カミサマ』の座はお預けだよ。これだけ下準備して頑張ったのに残念だったね。オツカレサマ♪」
「……調子に乗らないでよ。私も『挑戦者』の権限としてこの世界から力を授かっている。絶対にアンタに負けるわけにはいかない!」
勇ましい叫びと共に暦が宙に浮きあがり、目に留まらない速さで突進してくる。
いきなり特攻だなんて本当にどこまでもドジな子。でも、私の命がもうすぐ尽きるというのは本当みたい。だって、空の色がもうあんなに真っ赤になってしまっているもの。
だとしたらここで暦が焦るのは仕方ないことね……そんなことを思いつつ、私は飛んできた暦をハエでも落とす様に手を振り払った。
暦は砲弾の様に吹き飛ばされ、渡り廊下を貫通して視界の奥へ消える。どうやら反対側の校庭まで飛ばされてしまったみたい。はあ……面倒くさいな。
私が宙に飛び上がったその時、空がどす黒い赤へ変貌して渦を巻き……同時に辺りの建物が一斉に空へ向かって舞い上がり始めた。