ビッチは夜を蹴り飛ばす。
全然話聞いてくれん!! と青ざめてスマホを背中に隠したら振り向いてにへと笑ってみる。そしたら冷蔵庫の前でペットボトルの水を飲んでた硯くんが目を細めて顔を傾けた。
「ちょうど良かったじゃん」
「な、なにが?」
「今から来てくれんでしょ」
「耳良すぎん!?」
お前らの声がでかいんよと言われまた玄関に向かうからえっえっえっとその腰にしがみ付くのに今日に限ってその手を乱暴に払われた。
「な、なに怒ってんの!」
「うるさいうざい」
「硯く」
んっ、の合図でくるんと扉に押し付けられてキスされた。
ふ、と息を漏らしながら唇をこじ開けてきた舌に甘えようと思うのに、今日はあたしを素っ気なく突き放すようにして優しくない。
驚いたままあげてた手を肩に回そうとしたらうざったそうに腕でよけられて、そのまま上に纏められる。
キスされたままショートパンツに潜る手が強いからゃ、って声に出すのに熱い吐息に紛れて次第にすぐ濡れた音が上がってくる。
こんなの変だ。全然そんな気なくても硯くんに触られたらいつだってあたしは変になる。前戯が雑でもそれは、そう。
ちょっと痛いのすら激しいのが気持ち良くて、感じてたら服をまくられて胸の先を舐められる。思わず頭を抱えるようにしたら胸の位置で頭を動かしていた硯くんの手がく、とあたしの右脚を持ち上げてすんなり中に挿入ってきた。
はじめての体位が怖くて硯くんにしがみ付きながら織りなされる抽挿にはぁ、ぁ、ってただだらしない声が上がる。そのまま上り詰めて目があって、もうくるって顔を振った矢先にカン、と外から音がした。
…トニーだ。
「まっ、て、きてる」
「メーイ?」
「う、ぁっ!」
「声出したらバレるよ」
扉一枚挟んだ向こうに友だちが来てるのに立ったまま扉に押し付ける硯くんの力は緩まない。それどころか立位で深く押し上げれてひぅ、って声が漏れて、ドアノブがガチャガチャ回って鍵が閉まってるからドンドン、と叩かれる。
その振動すら怖くていけないって思うのにそっちに気を向けたら許さないみたいに突き上げられて、手の甲で塞いだ口から更に嬌声が漏れそうになったら下から深くキスされた。