ビッチは夜を蹴り飛ばす。
Day.7
大学の卒業を済ませるために硯くんが一時帰国することになった。
卒論とかはこっちでさりげに済ませてたみたいでそこはさすが硯くんて思ったけど、でもやっぱりそれだけじゃだめみたい。
「やだ」
「やだじゃない」
「やーだー!」
「うざい」
トトロのめいかと指摘されつつ腰に手を回してべったり引っ付いてたらべり、と剥がされてぺいと人間をダメにするソファに放られた。低反発のクッションに顔から沈んでんぐ、と声が出る。
「一週間もいないなんてむりだよ!」
「そんなこと言ったってしょうがないじゃん」
「突然のえなり」
なんでえ、と今度は硯くんの足に縋り付く。それでも出掛けるために着替えて荷物をまとめる姿に切なくなって、ずるずる引き摺られながらぐす、って泣き真似する。