ビッチは夜を蹴り飛ばす。
 

「…鳴おれがつけてたのちゃんと見てた?」

「みてた」
「目つぶってたじゃん」
「気づいてたんなら聞かないで!?」


 意地悪だな!? って叫んだらくっと背中から胸を突き出すようにされていつもみたく鎖骨に唇が降ってきた。そのまま少しずつ降りて胸のさっきよりも少し下に唇が滑るから片目を閉じて震えつつまって、って言ったら少しだけ息が漏れる。


「今度こそちゃんと見てて」

「またつけるの!? もういいよっ」
「それだとおれにいつまでもつけらんない」
「ぁ、ゃっ…い、いつまでするの、っ」


「鳴がちゃんと出来るまで」


 こうしてる間にもちくりちくりと走る痛みと快楽で訳わかんなくなってだめだよ、って言ってたのに全然止めてくれないからいつの間にかあたしが寝て硯くんが上にいる形になってたし、自分じゃ絶対つけらんないとこにつけといたよって笑われた頃にはあたしが着てる服なんてほぼ乱れてもはや意味を成さなくなっていた。

















「メイ、首元暑くない?」


 学校に向かう朝ちょうど自宅前で落ち合ったトニーに言われて飛び上がる。ノースリニットでこそあれど黒のタートルネックは現地人には暑苦しいのか、まずったと思うけどこれはその違くって!


「鳴」


 上から降ってきた声に振り向いたらベランダで柵に身を乗り出していた硯くんにいってらっしゃい、って笑われた。その目が全然笑ってなかったのと、メイ誰あの綺麗な人! ってトニーが肩をガクガク掴んで揺らすからその朝はいろんな意味で脳震盪になんのかと思ったし



 服で隠した硯くん作のキスマークが全部取れるのにそれから結局10日かかった。





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