ビッチは夜を蹴り飛ばす。
レア〜!! ってあえて赤の玉飾りがついたヘアゴムでちょんまげにしたことではちゃめちゃに赤子みの増した硯くんをジュリアンが取り出したスマホで連写すれども、涼しい顔で目を閉じてVサインする硯くんに恥じらいはどうもないみたい。
むしろそれ気に入ってない? ってちょいと軽く手でスタイリングしたらぴょん、と髪の毛が跳ねて座った硯くんが立ったあたしを上目で見る。ぐうっ、可愛い。かっこ悪くなると思ったのにただ可愛くなっただけなんて反則だ!
「それっそれいつまでやるのww」
「24時間。昨晩風呂上がってからずっとやってる。朝に関しては自分でくくりなおした」
「くくり直したwww」
「これ罰だから! カッコ悪いよね! すごくカッコ悪いよねジュリアン!」
「いやっww いやこれかっこ悪いっていうかむしろ」
「Excuse me.(おっじゃま———)」
カラン、と鳴った店のベルに三人揃って振り向けば扉を開いて現れた金髪ロングにプロポーション抜群の外人女性。へそ出しデニムにサングラスを押し上げた情報屋のレベッカは、片手を上げて指をばらばらに動かすとど、っとカウンターに座り込む。
「Rebecca! You happened to come to the store yet.
(レベッカ! あんたまたっ、何しに来たの開店はまだよ)」
「There was something I had to do if I had to swallow it. Listen, Julian That's it!
(呑まなきゃやってらんないことがあったのよ聞いてよジュリアンそれがさあ!)」
まで言ってレベッカの動きがぴたと止まる。それはその目があたしを捉えたからで、そして隣の硯くんへとスライドすると碧の目をぱちぱち、と瞬いて、
そしてぶはっと噴き出した。