ビッチは夜を蹴り飛ばす。
「———…す、硯くん、っ…」
「うん?」
「も、むり、っ」
腕を掴まれたらきて、って言われてそのままベッドに放られた。硯くんの部屋、硯くんの匂い、ってそれだけでばくばくしてたのにそっからずっとずっと全部おかしい。
肌が出てる所は全部犯すみたいなキスをされて、それがずっと続くから擽ったくて真っ赤になって言ったらお腹の弱いとこに口付けられてまたんっ、て声が漏れた。
触れられてるだけでこんな溶けそうになって頭ぼーっとするの、絶対へん。栃野に触れられた時は全然こんななんなかった、胸触られても、下の、だめなとこに指入れられても全然こんななんなかった、って思ってたら上で膝をついた硯くんと目があって、恥ずかしくてぱって顔を逸らす。
「………鳴はじめて?」
「ぇ、」
「こういうことすんの」
なんて、言ったらいいんだろう。素直に言ったところで硯くんふーんで終わらせそうだけど知られたくなかったからわかんないふりして曖昧に首を振る。
そしたら一瞬硯くんの無感情な目がは? みたいな色をした。いや、あの。
「………とりあえず初手は好きにするからおれのいうこと全部聞け」
「え、」
「嫌なら風俗行くからいい」
「え!?」
それはやだ、って腕を掴んだら軽く目を細められた。
ゆっくり覆いかぶさってきた硯くんの体温があったかくて、甘えるみたいにすり、って身を寄せたら瞼に口付けられて溶けそうになる。で、だ。
「鳴からして」
「え、」
「俺が前にしたみたいに」
「、っ」
覚えてるでしょ、と軽く笑ったその目がなんかもう、やばかった。