ビッチは夜を蹴り飛ばす。
浅く息をしてん、ってかろうじて唾を飲み込んでまた酸素を取り込むのに、くらくら星が散る中で背中に潜り込んで来た手にぐっ、て体を突き出すようにされて、鎖骨に、頸動脈に、心臓に唇が滑っていく。
下から掬うように優しく嬲られていた胸元の先をまくった服の中に潜り込んだ硯くんにぢゅ、って直に口に含まれてまた声を張り上げる。腰が浮く。勝手に揺れる。やだやだ、まって、それ嫌だ!
「っ…は、ぁっ…や、ゃだ、ぃ、いま、! いったばっかだから、ぁ」
「いや今の一回で済むわけないでしょ」
「ひぅ、」
「そもそも俺イってないし」
「…っぁ、」
「言い出したの鳴だからね?」
俺が達する頃鳴は何回いくかなぁ、って他人事みたいに口遊んで。
結局硯くんのたった一度の到達を果たすのに、あたしは8回も頭を真っ白にする必要があったのだった。