裏切り姫と恋の病
失ったもの
"好きな人ができたの、応援してね"
確かに私はそう言った。
大好きな親友にそう言ったの。
親友は、なんの迷いもなく。
『当たり前だよ。
だって、希乃香がはじめて好きになった人だもん。
絶対叶ってほしい』
ただひたすらに、純粋に。私の恋を願っていた。
そんな親友はどこへ行ってしまったんだろう。
あり得ないという言葉が頭上で散る。
あり得ないことがありえない。
だって、なんで、どうして。
親友は、私の好きな人の隣を独占しているんだろう。
< 1 / 82 >