裏切り姫と恋の病
「……はあ?……テメェは、この俺の誘いに乗らないって言いたいわけか?」
ーービリッと、男の低い声に電流が走ったみたいに、体が反応する。
「せっかく助けてやったのに、恩を仇で返すってわけか。」
「……っ、そういうわけじゃっ」
「なんだったら、さっきの男の代わりに。
俺がお前を襲ってもいいんだぜ?」
「……っ」
手首をギュッと掴まれ、体が吸い寄せられたみたいに、男との距離が近くなる。
……怖い。
さっきのフザけた態度とは違って、ガラリと雰囲気も何もかもが変わる。
なにも言い返せないで、恐怖から目を逸らそうと俯くと。
「だーれがお前なんか襲うか、アホ!」
男は言いながら、ピンッと私に軽くデコピンし、離れる。
「……へっ?」
「せっかくこの俺が助けてやったのに、助けた俺がなんでお前なんか襲わないといけないんだ。」
「……いや、それはこっちの台詞です」
「あぁ!?」
「はい!!すみません、なんでもないです!!」