裏切り姫と恋の病
「わかった、あなたについていきます。」
「おっ、まじか」
「だけど、正直。あなた嘘くさいの」
「ハッキリ言うねぇ。」
「だから……だからせめて、名前だけでも教えてください」
知らないままついていく方が、怖いに決まってる。
「そのくらい別にいいぞー。
名前は葛西晴臣」
「かさい……はるおみ」
「好きな女のタイプは~」
「待って。別にそこまで聞いてない……です」
「はあん!?そこは聞けや、ていうか聞いてください。」
……なんなんだろうこの男。
なんか調子狂うな……。
「分かりました、どうぞ続けてください」
そう言うと、葛西さんはパァ!と嬉しそうに、無邪気な笑顔を見せた。
「好きな女の子のタイプは~、もちろん可愛い子!!」
「……男って、やっぱり女は顔で見るものなの?」
「いや、知らん。」
即答で返され、ガクッと体の力が抜けてしまう。
「なんでそんな事聞くん?
まさか貴様、この俺に惚れちまったか?」
フッと鼻で笑う葛西さんは。
公園の奥なんか、それこそ街灯もなにもないから、真っ暗でなにも見えないのに遠くを見つめて自分に酔ってる。
多分、いや絶対、葛西さんはナルシストだと思う。