裏切り姫と恋の病
出会って一時間。
なんとなくだけど、葛西さんの冗談も慣れてきた。
よく見たら錆びついているガレージの、横にあるドアから入ろうと、ドアノブを握る葛西さん。
ドアノブも錆び付いているのが、少し開けにくそう。
「どーぞ。
何度も言うが、襲ったりしないから安心していいぞ」
心臓がドキドキしてるのがバレてる。
その言葉に頷きながら入ると。
それぞれ違う髪色をした、黒の特効服を着ている五人の男が。
葛西さんを目にした瞬間、一斉にソファから立ち上がった。
「総長おかえりなさい!」
黒の特攻隊に映える金色の髪をした、男が葛西さんにそう言うと。
続けて、他の男達も葛西さんに挨拶し始める。
葛西さんから、さっきのフザけた口調が消え。
「おう、ただいま」と、男らしい表情を見せた。