裏切り姫と恋の病
ゾロゾロとガレージから出ていく不良達。
ふと、ドアを閉める前に、一人の男と目があった。
その男は私を見て、顔をほんのり赤に染めながら、ドアを閉め、慌てて出ていく。
「あーあ、お前あいつに一目惚れされたな。」
頭上から、意味の分からない葛西さんの声が降ってくる。
言い返そうとしても、葛西さんが私の口を押さえつけてるから言い返せない。
そろそろ息が出来なくなってきたところで、その手を叩くと。
「悪い悪い。」と棒読みで謝りながら、葛西さんは私から離れる。
「ぷはっ……!殺す気ですか!?」
「ごみーん、希乃香ちゃんが余計なこと言わねえ様にと思って。」
「……」
さっきは訳の分からない男に襲われそうになったから、心に余裕なんかなかったけど。
段々と、安心してきたせいかな……?
葛西さんが一気に腹立つ人間に見えてきた。