裏切り姫と恋の病





さっきよりも口調の荒い葛西さんを見ていると、変に体の力が入って、緊張してしまう。


ごくりと唾を飲んで、次の言葉を待ち構えた。


わずかな唇の隙間から、葛西さんは白い歯を見せ、喋り始める。



「なぜ俺が……花音を知ってるのか。
 希乃香ちゃんも気になってるところだと思うが」


「……」


「花音は、俺の女だ」


「ーーッ!?」


葛西さんの言葉に驚いて
思わずテーブルに手をつけながら前屈みの体勢で勢いよく立ち上がってしまった。



花音が……葛西さんの女……?


そんなわけない。


だって花音に恋人ができたことなんて
一度もない……はず?



……いや、もしかして私に言ってないだけかも。


私が学校に行っていない、あの空白の時間。


花音とは連絡さえ取り合っていなかった。


その時に、花音に彼氏が出来ていたとしたら、私が知らないのも無理はない。



だけど、それじゃあなんで。


唯と花音はキスしていたの……?





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