裏切り姫と恋の病






「ってことで、希乃香ちゃん。俺と浮気して」


「は……はあああ!!??」



急に、なに言ってるんだこの人。


(にご)りのない目をキラキラと輝かせながら、こちらを見てくる葛西さんは。



立ち上がり、ギュッと私の両手をテーブル越しに掴んできた。



「だってー、希乃香ちゃん、千風唯の女って噂流れてるし。
 千風唯の女が俺の女になれば、俺の面子も潰れなくて済むじゃーん。
 それに喧嘩しなくて済むし?」


「なんで私が!?
 しかも私唯の女じゃないし!!」


「んな事はどうでもいい。
 四季から女奪ったって、思わせられればこっちのもんだ。」


「~~ッ!!」


ほんとこの人、会ったばかりなのに自分勝手すぎて困る。



「おっと、断るのは無しな、希乃香ちゃん。
 お前が断った瞬間、今から問答無用で四季の倉庫乗り込むからな」


「ちょっ……!あなた喧嘩嫌いなんじゃないんですか!?」


「しょうがねーだろ。お前に断られたら、俺、格好つかねーじゃん。
 それって緋鈴の総長としてどーなのよ。」


「……」


「たっはー!だからお前に拒否権なんかないって最初ッから言ってんじゃーん」



「むっ……むかつく」





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