裏切り姫と恋の病







春はポンポンと私の頭を2度軽く叩いて、その手を私の(あご)まで滑らせる。



クイッと顔を上に向けさせられ、強制的に私は春の瞳に吸い込まれた。




「泣いた跡とか残ってねーだろうな……?」


「……っ」


「……四季を抜けてこいなんて、お前には辛いこと言ったが、後悔はさせるつもりはない。」


「……」


「あそこにいて、後々辛くなるのはお前だって、分かれ……」



スッと春の手が私から離れる。


ゴツゴツとした男の人の手だった。


優しく触れられ

優しい言葉をかけられ


それはすべて私を思って言った言葉なのか

それたと緋鈴のための言葉なのか。


そんなの、私には分からない……けど。







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