裏切り姫と恋の病







「どこほっつき歩いてた。」



開閉する度に、キィキィとうるさいドアを開いた唯の第一声に、あからさまに肩をビクッと震わせる。



その後ろに続く様にして出てきた花音まで当たり前に四季の倉庫に居るから二重の驚きだ。




「唯には……関係ないでしょ」



「関係なくはないだろ。
 なに怒ってんだお前。」


「別に怒ってない。
 てか、なんで花音がここに居るわけ?」



可愛くない言い方。そんなの自分でも分かってるけど、どうしても花音に居場所を……唯を取られた事に腹が立って、攻撃の矛先が唯に向いてしまう。



おかしいよね、唯はそもそも私のモノでも彼氏でもないのに。



「希乃香……少しは言い方に気をつけろ。
 花音はお前を心配して、寝ないでお前の帰りを待ってたんだぞ。」



「……心配?それはただの口実でしょ。
 少しでも長く、二人の時間を楽しみたかっただけのくせに」


「……はぁ?」




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