ボーダーライン。Neo【下】
「本当にすみませんでした。Hinokiさんの事が好きすぎて、私、周りの意見にも流されちゃって。その方に悪い事しちゃったなって今になってずっと気になってて」
「……うん、そっか。ありがとう、素直に話してくれて」
「……え」
「でもさ。インターネットってそういう特性があるから、流されるのは仕方のない事だと思うよ? 書き込んだ人がと言うよりは、あの環境そのものが悪なんじゃないかなって。僕は思うから」
「そう、ですか?」
「うん。日頃誰でもさ、それなりのストレスは抱えてるでしょ? むしゃくしゃしても人間関係を考えると、誰かれ構わずに当たって発散出来ないし、かと言って溜め込むと自分がしんどくなる。
そのせいでネットに逃げちゃう人が多いと思うんだ。
だから、誰も君を責めたりしないし、勿論僕は怒ってない。むしろ、罪悪感を感じているなら、それで帳尻が取れてるんじゃないかな?」
「……Hinokiさん」
ーーん?
ファンの子は目に涙を溜めて僕をジッと見ていた。
「やっぱり好きですっ、結婚しちゃうなんて、寂しいです…っ」
ーーあぁ、なぜそうなるんだ。
しくしく泣く女の子の頭を撫でて宥めすかし、ごめんね、ととにかく穏やかに謝った。