ボーダーライン。Neo【下】
そして、五日続くファンサで度肝を抜かれたのは、何と言っても彼女だ。
「檜〜っ! 来たよ〜っ!」
ーーは?
僕は彼女の顔を見て唖然とした。
「奈々?? 何で奈々がここに?!」
「抽選に応募したら、奇跡的に当たっちゃったのっ」
「当たっちゃったって。いやいやいや、お前こんなイベントに参加しなくても、普通に俺と話せるだろ?」
「そんな事ないよーっ、だって檜すっごい忙しいし、会うのだって挙式以来じゃん?」
「ああ、まぁまぁ、そうなんだけど。
……で? お前どれぐらい並んだの?」
「えっと、二時間くらい、かなぁ〜」
「うわ。よくやるなぁ?」
「でも檜は八時間喋り通しでしょー?」
「いや。一応昼休憩ぐらいは有るし、俺は仕事だから」
「うわぁ、やだそれー。仕事と割り切っちゃってファンの子たちがかわいそうっ」
「あのなぁ、そういう事大声で言わないの。つーか、内田はどうしたんだよ?」
「ああ、勇介なら外で待ってくれてるよ? 後で二人でご飯行くの」
「相変わらずのラブラブぶりで何より。って事でもう用も済んだだろ? 旦那の元へ帰れ」
言いながら散った散ったと手を振ると、奈々は少しだけむくれるが。
「檜」
「ん?」