ボーダーライン。Neo【下】
「……俺さ」
慎ちゃんが再び口を開いた。
「自分のした事については、まだ罰を受けてないような、そんな気がしてさ。どこで落ちるのかって考えると怖いんだ」
「え……。罰だなんて、そんな」
慎ちゃんは自分がした行いに対して、帳尻合わせの如く、どこかで償うようになっている、と。元来真面目な性格なだけに、そう思っているようだった。
「あたしは慎ちゃんを恨んでないし。……ある意味、感謝してるんだよ?」
「感謝??」
彼は眉をしかめ、首を捻っていた。
「ある意味、慎ちゃんが全部ぶちまけてくれたから……問題が早くに片付いた」
「……ハハハ。お人好しだな、サチは」
「ううん」
言いながら首を振る。
「檜と一緒にいれても、自分の存在自体を隠して生きなければいけないなんて、あたしには苦痛で仕方なかった」
「さ、サチ」
慎ちゃんがギョッとし、動揺しているのは分かったが、檜との過去を思うと、感情が高ぶるのを抑えられなかった。
「秘密の交際は……もう懲り懲りなのっ。
これからは堂々と、胸張って……っ、あの人と一緒に生きていける。あの人の隣りに……っ、ちゃんと並べるっ。
そのキッカケをくれたのは慎ちゃんだから」
ありがとう、と再度頭を下げると、目から一粒二粒と涙が零れ落ちた。