ボーダーライン。Neo【下】
「もう、悠大ったら変な事訊いて。檜が困ってるでしょ?」
「いや、だってさ。姉ちゃんだって気になるだろ? あの笹峰優羽だぜ?? ちょー可愛いじゃん?」
幸子は怒っているのか、無言で弟さんを睨んでいた。
ーー何だろう、この姉弟はこれがいつも普通なのかな?
「あの、弟さんは」
「あ、悠大でいいっスよ?」
「じゃあ、悠大さんは。笹峰さんのファンなんですか?」
「いや。そういう訳でも無いけど」
ーーあれ、そうなんだ? ……何か。掴み所の無い人だな。
キッチンからもう一人女性が現れ、六つのガラスコップをお盆で運んでくる。
「いいなぁ、悠ちゃん。檜さんと喋って」
「いいだろ~?」
さして会話は弾んでいないのだが、調子よく彼は言う。
やっぱり面白いキャラだ。楽天的でサッパリした性格に、陸を思い出した。
ーー陸と似てるなら、少しは気が合うかもしれないな。
「あ、今の。嫁の由美です」
「へぇ」
キッチンに戻って行く彼女を見て、大人っぽいな、と感じた。
全ての料理が運び込まれ、六人での昼食が始まった。
テーブルには刺身の盛り合わせや天ぷら、唐揚げ、鯛の煮付けにかに玉、シュウマイ、サラダ、ハンバーグと、数々の皿が並び、思わず目を見張った。
ーーすげぇ。全部俺の好物だ。