ボーダーライン。Neo【下】
◇ ♂
「おめでとーっ!!!」
教会式を終え、フラワーシャワーで出迎えてくれる参列者に、空高く白いブーケが舞った。
甘い同棲生活を初めてから、二ヶ月を経た十月半ば。
秋の全国ツアーを終えて直ぐの大安吉日だ。
晴れの良き日に、僕と幸子はようやく結婚式を挙げた。
教会式が終わり、そのまま外で披露宴という流れになった。
二人の馴れ初めや両家代表のスピーチを、立食式のガーデンパーティで楽しむ。
新婦の幸子は今し方、お色直しに控え室へ向かったところだ。
二人の結婚式について、幸子は僕の立場を心配し、最初は身内だけの式にした方が良いのではないかと言っていた。
でも、一生に一度の晴れ舞台だし、どうせやるなら出来るだけ盛大にやろうと僕は提案した。
熱愛発覚から過去の交際まで、様々な情報がバレたのだから、今更こじんまりとした式をする必要もない。
もう秘密の関係じゃないんだ。
出来るだけ多くの人からの祝福を受け、今日一日を最高のものにしよう、と二人で話し合い、そう決めた。
そこここに置かれた丸テーブルに、ズラリと並ぶ数々の料理。
制服を着たボーイがお盆片手にシャンパングラスを配っている。
皆が思い思いの時間を楽しみ、そこら中で様々な会話が飛び交っていた。