ボーダーライン。Neo【下】
僕の部屋に引っ越して来てから、幸子が外出するのは僕と一緒にいる時のみだ。
部屋に友達を呼ぶ事も出来ないし、ましてや仕事を始める事も控えて貰っているので、もっぱら映画三昧で暇を持て余しているらしい。
毎日やれるだけの家事をこなし、時々部屋の模様替えをしたりもするので、僕の部屋は大分生活感が出て、お洒落になった。
「ひーのきっ!」
「ーーあっ! 透さん!」
突然、庭園に顔を見せた透さんに、僕は笑みを浮かべた。
彼の存在に気付き、周りからチラホラと黄色い声が上がる。
「教会式には出れなかったけど。何とか間に合ったみたいだな? はいコレ祝い」
ーーえ、ぶあつっ。
中に手紙でも入ってるのかと確認したくなるような祝儀袋を渡され、僕は申し訳なく頭を下げた。
「あの、ありがとうございます。て言うか、忙しいのに。ホントすみませんでした」
「何言ってんだよ? 俺と檜の仲だろう??」
ーーどんな仲だよ。
僕の肩に手を置いた透さんに、思わず笑ってしまう。
とは言え、メンバー以外で一番仲の良い先輩だ。
彼の気持ちを有り難く頂戴し、袋をジャケットの内ポケットに仕舞った。
「で? 檜が溺愛する新婦はどこにいんの?」
「え、ああ」