ボーダーライン。Neo【下】

 ぼんやりと彼らの会話を見守っていると、今度は美波さんが透さんに声を掛けた。

「坂城さん、ちょっとお話宜しいでしょうか? 私、TRY編集部の二葉 美波といいます。こっちは後輩の鮫島です」

 初めまして、と紹介された鮫島さんが頭を下げ、透さんも会釈した。

「美波ったら相変わらずね?」

「ホント。こんなとこ来てまで仕事するなんて……もう根っからのキャリアウーマンだ」

 彼女の機敏な動作に、僕と幸子は顔を見合わせ苦笑した。

「檜〜っ! さっちゃん先生〜っ! おめでと〜〜っ!」

 相変わらずのハイテンションで、奈々が内田と一緒に駆け寄って来る。

「水城さんっ」

 言ってからすぐに、幸子は「あ」と口元を押さえ、「今は内田さんだったわね?」と肩をすくめた。

「もう奈々で良いよー? さっちゃんせ、あ。そっかぁ、もう先生じゃないもんね。じゃあさっちゃんで良いかな?」

「おい、奈々。流石にさっちゃんは無いだろ? せめて幸子さんだ」

「ふふっ、何でも良いわよ? 奈々ちゃん。好きに呼んで?」

「じゃあ、やっぱりさっちゃんで!」

 今度は奈々と内田と幸子の三人で会話を弾ませている。

 ーーああ、俺の幸子が。

「……幸子さん、人気者ね〜?」
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