ボーダーライン。Neo【下】

 風邪で何日も学校を休んでいると聞いていたが、結局のところ、檜は工事現場で働き、あたしへのプレゼント代を稼いでいた。

「そんな一生懸命な檜くんを見てて、彼が好きな彼女は一体どんな人なんだろって……わたしは次第に興味を持ちました。
 けれど……。まさかその彼女が教師だなんて、思ってもみなかったから。
 わたしはよく知りもしない幸子さんの事を勝手に悪く思ってました」

 今だからそう感じるのかもしれないが、悪く思われても仕方ないのかもしれない。

 教師は普通で言えば、生徒を導く存在だ。

「邪魔するような真似をして、本当にごめんなさい」

 そう言って上河さんがまた頭を下げるので、つい慌ててしまった。

「……も、いいですよっ? 本当にもう、終わった事なので。顔を上げて下さい」

「あ……、ごめんなさい。こんなおめでたい日に」

 赤くなった頬で首をすくめる上河さんを見て、あたしはふっと頬を緩めた。

 檜の事が無ければ、普通に仲良く出来る女の子かもしれない。彼女の明るい雰囲気を感じ取り、何となくだが、そう思った。

 上河さんと話し、会釈してからまた檜の所に引き返した。檜は内田くんや奈々ちゃんと喋っていた。
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