ボーダーライン。Neo【下】
戻る途中、ふと視界に美波が映った。仕事の同僚の人が帰って行く様子で、それならまた美波と喋ろうかなぁと考える。
ーーあれ?
いつの間にかカイくんが現れて、美波にシャンパングラスを渡していた。
二人が話している様子はどこか真剣で、カイくんが積極的に話題を振っている。
周囲の騒めきと少し離れた距離から、会話の内容は分からないけれど、カイくんの言葉に美波が戸惑い、それでも嬉しそうに頷くのが見えた。
美波の反応を受けて、カイくんも顔を綻ばせている。
ーー何だろう? もしかして、カイくんって。美波のこと……?
「幸子っ!」
不意に彼に呼ばれて顔を上げる。
あたしは頬を窪ませ、檜の元に戻った。
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