ボーダーライン。Neo【下】
愛してやまない気持ちを再確認しても、自らの立場を思い返すと、到底幸せになど出来ないかもしれない、と沢山迷い、思い悩んだ。
出会った時から彼女との間には幾つもの境界線が張られ、それでも、それを乗り越える度に愛情を深めていった。
信頼と共に消えるボーダーライン。
皆の笑顔に祝福された今日。僕たちはようやく夫婦になれた。
「……これからはもう。ずっと一緒だから」
ぶらり、下ろした幸子の手を握り締め、彼女の耳元へ囁いた。
「この手だけは一生、離さないから」
誓いに似た僕の言葉を聞き、幸子はくしゅっと両頬にえくぼを浮かべた。
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