君からの贈り物
空港を出て、イタリアの町を歩く。日本とは違った街並みに、私は辺りを見渡した。少し歩いてると、広場に出る。

「若……?若だよな?」

誰かの声が聞こえて、私は振り返った。背が高くて、どっかで見覚えのある男子が、私を見てニコリと笑った。

「やっぱり若だ!」

私のことを若って呼ぶの……あいつしか、いない……。

「もしかして、優希……?」

問いかけると、優希は「そうだよ」と頷く。

「……久しぶりだね。優希」

「そうだね。元気だった?」

優希の問いかけに、私は頷いた。

「あの……えっと……手紙、読んだ。ごめんって、謝らないといけないのは私の方なのに……」

気が付けば、私は泣いていたんだ。

「ううん。あんたの何気ない一言で、感情的になった俺も悪いんだ……だから、お互い様だよ」

そう言って、優希は微笑む。私は「……うん」と俯いた。

「そんなに落ち込むな……ほら、俺がイタリアを案内するよ!」

顔を上げると、優希は私に手を差し出している。私は、頷いて優希の手を握った。



優希と仲直りして、1週間。日本に帰ってきた私のもとに、優希からプレゼントが届いた。

箱の中には、赤と白のアスターの花束が入っていた。

アスター全体の花言葉は、『変化』や『追憶』などの意味がある。
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