意地悪執事はお嬢様を独占したい
しばらくすると、一条の姿が見えた。
「遅くなってすみません」
「大丈夫。そろそろ行こっか」
そう言って歩き始めようとすると、私の腕を掴み、
「少し待ってください」
と呼び止められた。
なんだろう、と思って振り返ろうとすると「動かないで」と言われ動けなくなってしまう。
……動かないでって。
タメ口の一条で言われたら動けないよね。
止まっていると、急に降ろしていた髪が上に持ち上げられた。
首に髪がついてたので一気にスーッと首が涼しくなる。