赤い花、君に見せたい青
小菊とは、最初から恋に落ちていたわけではない。ただ互いの領地を平和にするために私たちは結婚することになった。最初はこの関係がぎこちなかった。しかし今は、小菊のことを私は心から愛してしまっている。

「晴喜様……!」

小菊は涙をこぼし、私に抱き付く。私はただその体を抱き締めていた。これからどんな相手と戦うのか、小菊もよく知っている。だからこそ、笑っていないのだ。

「泣くな、小菊。私は戦国一強いと言われた家を守り続けている。必ずお前を守ろう」

私は安心させるように笑いかける。本心は最後まで隠し通すつもりだ。小菊に弱い部分など見せたくない。

「愛しております、晴喜様……」

小菊はそう言い、私から離れる。本当はもっと触れていたかった。もう小菊の体温が恋しくなっている。

無事に帰ってこられるのだろうか……。

そんな不安は胸の中にしまい、私は馬に乗る。そして「戦に向かおうぞ!!」と大声で叫んだ。途端に静かだった兵士たちが「おお!!」と声を上げる。
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