赤い花、君に見せたい青
こちらの兵の数は敵より少ないが、どうやらこちらの方が優勢のようだ。この作戦で戦って正解だったな。

そんなことを思いながら、少し時間があるたびに空を見上げている。戦が決まる前までの平穏だった頃、小菊とよく空を眺めたな。城に帰ったら一緒に空を見よう。

戦場には相変わらず武器が交わる音が響いている。戦場という場所は、例え味方に囲まれた状況でも危険なのだ。でも、私は愚かだった。長く戦っていなかったせいで、強い家系の末裔であると思っていたせいで、気を抜いてしまったのだ。

「晴喜様!!」

遠くで銃声が聞こえたと思った刹那、私の胸に痛みが走る。私の胸からは血が出ていた。私の体から力が抜け、私は緑の地面に倒れていく。

「大将を討ち取った!!」

「我らの勝利だ!!」

敵が喜ぶ声が遠くで聞こえる。近くでは、「晴喜様!晴喜様!」と必死で私の名前を呼ぶ兵たちの声がした。

私の口から血があふれ出す。すまない、言いたいことはたくさんあるが、もう話すことさえできないんだ。ああ、目の前もぼやけていく。
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