新 発 売【短篇】
新発売
ある暑い夏の、とある日の部活終わり。
何となくチャリンコを走らせて家路を走る俺。
いつもと同じ日常だ。
いつもと同じく、何となく喉が乾いて、
通学路の途中にある自販機にチャリンコを停めた。
ポケットからは120円。
ホントなら150円でペットボトルに行きたい所だけど、節約の為に迷わず缶のコーラのボタンを押した。
部活では炭酸飲料は禁止されているが、暑い夏に飲む炭酸はそうは簡単には止められないのだよ。
ガシャ……ゴッ…ド……
自転車に股がったまま手を伸ばして缶を掴み、少しよろけながら顔を上げる。
その時、視界に入ったサンプルケース。
良く見かける、誰もがご存知な、炭酸飲料・お茶・ミネラルウォーター・コーヒー……、に混ざって見慣れない二種類の缶。