新 発 売【短篇】
片方。
『最高DAKARA』は真っ赤なパッケージに、天使の羽の様なイラストが……
もう片方。
『最低DAKARA』は真っ黒なパッケージに、これも天使の羽のようなイラストが……、逆向きに。
一見すると缶コーヒー。
ただサンプルからは《コーヒー》等の表記は伺えない。
!!!!!!!!
なんとなく見ていたから気付かなかった。
130円……少し高いじゃあないか。
少しだけ……
するとそこへ一組のバカップル登場。
邪魔になるかと、少し自転車を自販機から離し、飲み干した空き缶をゴミ箱へ投げ入れた。
その時──
「あ、これだよね。言ってたやつ」
「おぉ、これこれ。あったじゃん」
という二人の会話。
「おれこっちぃ~」
「あたしこっち~」
そう言いながら迷いなく、男は『最高DAKARA』を……、女は『最低DAKARA』を選び、僕の前を通り過ぎて行った。
見るに女はシャカシャカと缶を執拗に振りながら……