新 発 売【短篇】
翌日の部活終わり、喉の乾きを押さえつつ俺は昨日の自販機に直行した。
妙な好奇心に駆られながらも、期待は裏切られる事は承知している。
大抵、「なぁんだ。まぁ……普通じゃないの?うまいけど普通」的な感想に落ち着くものだ。
ポケットからは130円。
コインを入れながら心の中では、
「まずは『最高DAKARA』でしょ」と僅かに意識しつつ結構ワクワクしていた。
そしてボタンに手を伸ばした瞬間……
《売り切れ》
予想していた失望感は、違う失望感へ誘われた。
恐る恐るチラリと横の『最低DAKARA』を……
《売り切れ》
「さ、最低だ……」
押さえきれない欲望が僕をかきたてる。
もう飲みてえんだよ!口がその気分になってるよ。
その足で近くのコンビニへ入り、奥にある飲料販売のケースへ直行。
『最高DAKARA』『最高DAKARA』
ない。
良く見ると、プライスカードはかかっているが、きれいに空洞の道を作っている。
売り切れっ!?
近くのスーパーへ電撃直行。
売り切れっ!!
スーパーの自販機。
売り切れ……
しかも「あったか~い」の列にもサンプルが……
あ、あったか~いもあんの……?!