新 発 売【短篇】
頼むよ。小銭ないんだからさ。
チャリン……、……かっ!!!
いやいや、落ち着け、落ち着け。
札で行こう。釣りを貰えば済む事じゃあないか。
冷静さを失いながらも、『最高DAKARA』を目の前に、ポケットをまさぐる手は落ち着きを無くしている。
ウィィィィン……、……ウィィィィン……!
出て来たよ。釣り銭切れだよ。
くっっ、どうしよう。
幸いにも隣にもう一つ自販機がある。
『最高DAKARA』も『最低DAKARA』も売っていない今の俺には価値の無い自販機が……
背に腹は変えられない。何か別の物を買って札をくずそう。
僕は隣の自販機にやむなく札を入れた。
どうでも良いが少し迷ってコーラのボタンを押そうとしたその時……『ラムネ(風味)』と書いた飲料が視界に入った。
ラムネ……風味?風味とは何だ。ラムネの味がしたらラムネではないのか?
ただのラムネとどう違うんだ?
迷った挙げ句、ここに来て更なる興味の対象を発見した俺は『ラムネ(風味)』のボタンを押した。