暗闇の先に…

……帰れって、あんな家に帰りたくないのに。
って言うか…どっか行ってくんないなかぁ……


俯き黙り込む私に、男はため息をつきながら携帯を触り始めた


「俺。今そっちに向かってるけど、一人増える」

それだけ言うと、電話を切った


「お前、名前は?」


俯いていた顔を上げる


「如月、彩夢…」


何か言われるんじゃないかとビクビクしていると、私の手からボストンバッグを取り上げた

「あ。それはっ……」


「俺は、玖賀 陸斗。お前…行く宛ねぇんだろ?付いて来い」


そう言うと、くるりと踵を返して歩き出した


戸惑いながら、その後を追いかける

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