子連れシンデレラ(1)~最初で最後の恋~
そして、入籍して一週間後。ホテルのウエディングサロンへと私と玲也を案内した。

「社長、お待ちしていました」

「ありがとう、岩城チーフ。最新デザインのウエディングドレスはキチンと準備出来ているか?」

「はい、直ぐにお持ち致します」
サロンの責任者の岩城チーフは恭しく頭を下げ、踵を返してドレスを取りに行った。

「柊也さん、ありがとうございます」

「本当は有名処のウエディングドレスデザイナーでも呼んで、君にオーダーメイドのドレスを作りたかったんだけど・・・そんな悠長な時間はないからね」

岩城チーフは幾つか、最新デザインのドレスを持って来た。

「まずはこれから試着してくれ、凛香」

「分かりました」

私は柊也さんに勧められるまま、ドレスを受け取り、岩城チーフに案内され、試着室に向かった。

「貴方が噂のハウスキーピングなのね・・・」

私の噂はホテル内に広がっていた。

「あの男の子が社長の子供・・・でも、DNA鑑定はしていないんでしょ?」


今まで、ワーカーホリックに仕事をこなして来た柊也さん。

そんな彼はホテルで働く従業員達にとっては憧れの的。
柊也さんを密かに狙っていた女性は数知れず。

そんな彼のお相手がアルバイトのハウスキーピングでしかもシンママ。

玲也は柊也さんの子だと言っても、皆納得していなかった。



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