子連れシンデレラ(1)~最初で最後の恋~
「まぁ、座って下さい。阿川さん、コーヒーお淹れします」

「ありがとうございます・・・」
私は遠慮げに礼を言って、ソファに腰を下ろした。

「俺が居ない間、何かあったか?」

「いいえ・・・長いトイレだから・・・下痢になったのかと思い、心配しました」

「黒沼、余計なコト言ってないで、さっさと淹れろっ」

「はいはい」

黒沼さんは給湯室へと消えた。

初めて入る社長室。
アンティーク調のプレジデントデスクに私の座るソファはフカフカのソファ。
書棚にはファイルがキレイに並び、誰が描いたのか分からないが見事な風景画の絵画が飾られていた。

観葉植物をパーティションにした向こうには楕円形のテーブルと椅子が並び、会議なども行えるようになっていた。

「どうぞ、阿川さん、お好みでミルクとシロップを入れてください」

黒沼さんは私にアイスコーヒーを出してくれた。


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