子連れシンデレラ(1)~最初で最後の恋~
「頂きます」

「でも、どうして彼女なんですか?」

「別に深い意味はない。偶々見つけたのが彼女なんだ・・・」

目の前に座る筒見社長はスマートフォンを弄りながら、黒沼さんに説明する。

「偶々ではないでしょ?
社長の好みのタイプだから…阿川さんなんでしょ?」

―――私が筒見社長の好みのタイプ?
私の全身の血流が一気に顔に集まって真っ赤になり、軽い眩暈が起こす。

「・・・かか、彼女が困ってるだろ?」

筒見社長の顔が歪み、黒沼さんに鋭い視線を浴びせた。

「素直じゃないですね・・・
私は何年社長とそばに居ると思ってるんですか?
社長の好みの女性は熟知しています・・・」

「・・・黒沼…後で憶えてろっ」

「・・・はいはい」

慌てふためく社長とは打って変わり、冷静な黒沼さんは顔色一つ変えず、二つ返事で流した。

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