君モノガタリ


この声って


蓬田?

目の前の部屋から聞こえてくる声


私は静かに耳をかたむける



「本当にいいんだな?」


「はい。なんの迷いもありません。それに、もうキッパリと忘れます。田中凛のことは」

え?


「しかし・・・。凛ちゃんはどう思うかねぇ」

「俺のことは覚えていませんでした。俺は、忘れられているんです」



ええ??

「じゃぁ、転校するんだな?」



待って

「はい」

待ってよ



「待ってぇ!!」

気づいたら部屋のドアを開けていた。
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