すれちがいの婚約者 ~政略結婚、相手と知らずに恋をしました~
初対面は・・・
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「タヤカウ国第3公女ユナと申します、よろしくお願いします」
母国の正装であるベールを外し、膝を曲げて腰を落として挨拶を行う。
段の上の目前にいるのはポイコニーの王家の方々。
国王夫妻と王太子夫妻と第2王子殿下。
左右に分かれて並んでいる面々は、行政の政務官や文官、武官の高官達だろう。
国同士の政略結婚がほぼまとまり、海を越えてやって来ての初めての対面だ。
タヤカウ国は北陸の北半分ほどの土地を有する大国であるが、殆どが砂漠の土地。
それでも豊かな鉱物資源とオアシスによって繁栄している砂漠の国だ。
一方ポイコニーは南陸の南方に位置した森林の国。
国自体は大きくはないが豊かな森林で果実や家具、紙など質のいい特産物が溢れる。
「長い道のり大変だっただろう」
優しそうな笑みを浮かべた王自らが最初に声をかける。
「彼が第2王子のキーマだ」
端にいた濃紺髪の彼が半歩前に出て軽く会釈した。
「……」
声が小さくてよく聞こえない。
とりあえず、初めましてよろしく的な感じのような気がしたが、それだけで話は終わってしまった。
「今は仕事が立て込んでいて疲れているようで、すまないねぇ」
フォローするように王が苦笑する。
髪に隠れ伏せられた目は興味ないとばかりにこちらを見ない。
「滞在先の整理もあるだろう、歓迎の晩餐会までゆっくり過ごすといい。時間はあるのだから」
「…はい、ありがとうございます」
「タヤカウ国第3公女ユナと申します、よろしくお願いします」
母国の正装であるベールを外し、膝を曲げて腰を落として挨拶を行う。
段の上の目前にいるのはポイコニーの王家の方々。
国王夫妻と王太子夫妻と第2王子殿下。
左右に分かれて並んでいる面々は、行政の政務官や文官、武官の高官達だろう。
国同士の政略結婚がほぼまとまり、海を越えてやって来ての初めての対面だ。
タヤカウ国は北陸の北半分ほどの土地を有する大国であるが、殆どが砂漠の土地。
それでも豊かな鉱物資源とオアシスによって繁栄している砂漠の国だ。
一方ポイコニーは南陸の南方に位置した森林の国。
国自体は大きくはないが豊かな森林で果実や家具、紙など質のいい特産物が溢れる。
「長い道のり大変だっただろう」
優しそうな笑みを浮かべた王自らが最初に声をかける。
「彼が第2王子のキーマだ」
端にいた濃紺髪の彼が半歩前に出て軽く会釈した。
「……」
声が小さくてよく聞こえない。
とりあえず、初めましてよろしく的な感じのような気がしたが、それだけで話は終わってしまった。
「今は仕事が立て込んでいて疲れているようで、すまないねぇ」
フォローするように王が苦笑する。
髪に隠れ伏せられた目は興味ないとばかりにこちらを見ない。
「滞在先の整理もあるだろう、歓迎の晩餐会までゆっくり過ごすといい。時間はあるのだから」
「…はい、ありがとうございます」
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