すれちがいの婚約者 ~政略結婚、相手と知らずに恋をしました~
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「宴が終わった後、少し時間をもらえないかな?」
宴で皆に注目されながら一曲を無事踊り終わると、キーマ王子が耳元で告げた。
ドキッとして思わず見つめ返すと、いつになく真剣な翠の瞳とぶつかった。
何で今まで気づかなかったのだろうと思う程、ベルデ様と瞳に同じ顔。
でも、キーマ王子が髪を上げて顔を晒しているのは今を含め、見たことないなぁと思い直す。
今も長い髪が表情の半分を隠している。
「ユナ、大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
思わず顔を凝視してしまう。
それに、敬称がつかず呼ばれる名前に、嬉しさを感じてしまう。
手を繋いだままエスコートされるように、王や高官達の前に行って挨拶を済ます。
キーマ王子殿下の婚約者としてのお披露目の意味も兼ねているため、
それだけは仕事としてきっちりと笑顔でこなして会場を後にする。
「ユナの部屋でいいか?」
「はい」
王宮の与えられた部屋まで戻ってくると、先に連絡が入っていたのかサリが応接室の部屋を準備して待っていた。
テーブル越しのソファに対面して座る。
お茶を運んできたサリも、失礼しますと部屋を出て行った。
本当に二人きりになるのは初めてで、なんだか落ち着かない。
「…いろいろ確認したい事と報告があるのだが……」
切り出したキーマ様も、緊張しているのか声が固い。
「宴が終わった後、少し時間をもらえないかな?」
宴で皆に注目されながら一曲を無事踊り終わると、キーマ王子が耳元で告げた。
ドキッとして思わず見つめ返すと、いつになく真剣な翠の瞳とぶつかった。
何で今まで気づかなかったのだろうと思う程、ベルデ様と瞳に同じ顔。
でも、キーマ王子が髪を上げて顔を晒しているのは今を含め、見たことないなぁと思い直す。
今も長い髪が表情の半分を隠している。
「ユナ、大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
思わず顔を凝視してしまう。
それに、敬称がつかず呼ばれる名前に、嬉しさを感じてしまう。
手を繋いだままエスコートされるように、王や高官達の前に行って挨拶を済ます。
キーマ王子殿下の婚約者としてのお披露目の意味も兼ねているため、
それだけは仕事としてきっちりと笑顔でこなして会場を後にする。
「ユナの部屋でいいか?」
「はい」
王宮の与えられた部屋まで戻ってくると、先に連絡が入っていたのかサリが応接室の部屋を準備して待っていた。
テーブル越しのソファに対面して座る。
お茶を運んできたサリも、失礼しますと部屋を出て行った。
本当に二人きりになるのは初めてで、なんだか落ち着かない。
「…いろいろ確認したい事と報告があるのだが……」
切り出したキーマ様も、緊張しているのか声が固い。