すれちがいの婚約者 ~政略結婚、相手と知らずに恋をしました~
正式な婚約へ
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「今日の宴もお披露目の意味もあったが、このまま私との婚約、結婚の準備を進めてよろしいか?」
「…はい、もちろんです」
元々、国に戻るつもりもなかった政略結婚。
答えは決まっている。
「私も、それを望んでいます」
「だったら、嬉しい」
キーマ様もほっとしたように表情を崩す。
改めての確認。
考えてみれば、自分から彼に好意を示す事はしていなかったと気づく。
忙しそうだし迷惑になってはいけない、と会いに行くことも無かった。
不安だったのはお互い様だったのだろうか。
だから、先程繋がれた手に安心した。
部屋に着くまで繋いでいた手を離した時に、手の温もりがなくなったことに寂しさを感じた。
自然と視線がキーマ様の組んでいる手に向かう。
自分とは違う、大きな男の人の手だ。
「今まで、本音であまり話もできてないですが……」
キーマ様が言葉を切って、意味ありげに笑う。
「今日、さっき気づきましたよね。図書館で会っていたベルデが私だと」
「―っ」
驚きで見上げたキーマ様はスッと前髪を書き上げて、少し楽し気な表情で自分を見ていた。
あの時、ベルデ様の名前を口にした時に何も言われなかったので聞き取られなかったのかと思っていたが、しっかり耳に届いていたようだ。
「今日の宴もお披露目の意味もあったが、このまま私との婚約、結婚の準備を進めてよろしいか?」
「…はい、もちろんです」
元々、国に戻るつもりもなかった政略結婚。
答えは決まっている。
「私も、それを望んでいます」
「だったら、嬉しい」
キーマ様もほっとしたように表情を崩す。
改めての確認。
考えてみれば、自分から彼に好意を示す事はしていなかったと気づく。
忙しそうだし迷惑になってはいけない、と会いに行くことも無かった。
不安だったのはお互い様だったのだろうか。
だから、先程繋がれた手に安心した。
部屋に着くまで繋いでいた手を離した時に、手の温もりがなくなったことに寂しさを感じた。
自然と視線がキーマ様の組んでいる手に向かう。
自分とは違う、大きな男の人の手だ。
「今まで、本音であまり話もできてないですが……」
キーマ様が言葉を切って、意味ありげに笑う。
「今日、さっき気づきましたよね。図書館で会っていたベルデが私だと」
「―っ」
驚きで見上げたキーマ様はスッと前髪を書き上げて、少し楽し気な表情で自分を見ていた。
あの時、ベルデ様の名前を口にした時に何も言われなかったので聞き取られなかったのかと思っていたが、しっかり耳に届いていたようだ。