すれちがいの婚約者 ~政略結婚、相手と知らずに恋をしました~
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「やっぱり…ベルデ様だったのですか」
「ベルデは幼い頃に愛称として付けられていた呼び名なんだ」
驚きの表情の彼女も可愛く見えて、笑みが浮かんでしまう。
「ていうか、もしかして私のことも…」
「うん、気づいてたよ。ユナ=シーラ=タヤカウ。本好きの公女様」
「いつから…」
「図書室で何回か会った頃かな、学生にしてはなんだか違うし、少し気になって調べさせた」
「そんな初めから…」
「情報を得ようと私の周りを探る者も多々いたからね。私が指示するより先に、護衛が調べてた」
「え?」
「図書館通いに見咎められたり、危険な目には合わなかったでしょ?」
「確かに…」
彼女の視線が扉に向く。たぶん護衛の者の存在を感じているのだろう。
「私自身も忙しくてなかなか時間が取れなかったから。図書館でユナと会う時間ができることは良かったんだ」
夜遅くに呼び出すこともできないしね、不本意な噂が立つと厄介だしと呟く。
「図書館でのユナを見て、着飾っていない貴女に興味を持って、自分でも信じられないほど惹かれていきました」
彼女に向けて手を差し出す。
「私も…何も言わず、知らない振りでいてくれたから図書館通いも楽しく感じたんだと、今なら思います」
本音の告白。
躊躇いながらも手を重ねてくれた。
逃がさないとばかり、手を掴む。
宴の際に初めて繋いだ手。
彼女の手を取って感じたのは、自分以外がこの手に触れるのは嫌だと思った。
彼女の温かさを感じるのは自分だけでありたいと。
「やっぱり…ベルデ様だったのですか」
「ベルデは幼い頃に愛称として付けられていた呼び名なんだ」
驚きの表情の彼女も可愛く見えて、笑みが浮かんでしまう。
「ていうか、もしかして私のことも…」
「うん、気づいてたよ。ユナ=シーラ=タヤカウ。本好きの公女様」
「いつから…」
「図書室で何回か会った頃かな、学生にしてはなんだか違うし、少し気になって調べさせた」
「そんな初めから…」
「情報を得ようと私の周りを探る者も多々いたからね。私が指示するより先に、護衛が調べてた」
「え?」
「図書館通いに見咎められたり、危険な目には合わなかったでしょ?」
「確かに…」
彼女の視線が扉に向く。たぶん護衛の者の存在を感じているのだろう。
「私自身も忙しくてなかなか時間が取れなかったから。図書館でユナと会う時間ができることは良かったんだ」
夜遅くに呼び出すこともできないしね、不本意な噂が立つと厄介だしと呟く。
「図書館でのユナを見て、着飾っていない貴女に興味を持って、自分でも信じられないほど惹かれていきました」
彼女に向けて手を差し出す。
「私も…何も言わず、知らない振りでいてくれたから図書館通いも楽しく感じたんだと、今なら思います」
本音の告白。
躊躇いながらも手を重ねてくれた。
逃がさないとばかり、手を掴む。
宴の際に初めて繋いだ手。
彼女の手を取って感じたのは、自分以外がこの手に触れるのは嫌だと思った。
彼女の温かさを感じるのは自分だけでありたいと。