心の鍵はここにある

 でもそんな思考は、降り注がれる愛撫とキスで、いつの間にやら遠ざかる。
 目の前に与えられる快楽の波に乗るのが精一杯だ。これが、直哉さんの言う『感じる』と言う事なのだろう。
 今はもう、何も考えられない。彼から与えられる、初めての快楽に溺れ始めているのだから。

「俺以外、誰も聞いてない……。だから……、もっと聞かせて…。里美の、感じてる声を……。もっと……」

 指先から与えられる刺激は、いつの間にか下半身の奥の方の疼きを誘発している。
 無意識のうちに私の腰が動いている。
 私の頬に触れていた手は、次第と下の方へと移動して行き、両手で私の両胸を掴んだ。
 グッと強く掴まれたと思えば、やわやわと感触を確かめる様に、胸の頂きに、その唇がやって来た。
 胸の頂に吸い付くその唇から、チロチロと舌がそこに甘い刺激を与えてくる。

 左手で私の右の乳房を包み込みながら、その手のひらで頂を優しく撫で回され、左の胸は頂の周辺をたっぷり舐め回され、見ると唾液で頂より外側も妖しくキラキラと光っている。
 彼の右手が私の背中に回されて、あっという間にブラジャーのホックが外されると、私はバンザイをさせられて、見る間に上半身は生まれたままの姿になった。
 部屋が薄暗いせいもあり、不思議と裸を見られて恥ずかしいとは思わなかった。
 それでも下半身はまだ服を着た状態のままだ。
 直哉さんは、私の履いていたホットパンツのウエスト部分から右手を侵入させて、ショーツの上から敏感な箇所をゆっくりと触った。
 先程の胸への愛撫とはまた違う刺激は、再び私の身体全身に電流が走る様な衝撃的な感覚で、またもや私の身体は弓形にしなる。

「……濡れてるの、わかる?もっとトロトロに解かさなきゃ、このくらいじゃまだ痛いかも知れないな……。
 ……せっかくの可愛い下着、汚れちゃうから脱がすよ」

 そう言って、ホットパンツとショーツを一緒に脱がされ、私は正真正銘、生まれた時のままの姿にされた。
 直哉さんの眼は、ますます熱を帯びて、色気も増している。
 自分でTシャツを脱ぎ捨て、ハーフ丈のジャージを脱ぐと、グレーのボクサーパンツの中央部分は、薄暗くても分かるくらいにそそり勃っている。
 先程まで上半身を愛撫されていたのに、いざ裸になると触れてもくれず、ただただ私の全身を見つめている直哉さんに不安を感じた。
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