心の鍵はここにある
心も身体も結ばれて……
部屋に戻って来た直哉さんの手には、ミネラルウォーターの入ったペットボトルと、先程の私の飲み残した缶チューハイが握られていた。
ベッドサイドにある小さな棚の上にそれらを置き、私の身体を起こして背中にクッションを敷いてくれる。
至れり尽くせりのお姫様扱いに、戸惑いを隠せない。
ベッドサイドの棚の上には、暗くてよく見えないけれど、写真立てに入った写真が2枚飾られている。
私の目線に気付いた直哉さんが、それを手にして私に手渡した。
「……里美と一緒に撮った、唯一の写真。こっちは、俺の隠し撮りだけど……。俺の大切な宝物だよ」
それは直哉さんの高校最後の総体後に撮影された集合写真と、いつ撮られたのか分からない学生時代の、私の笑顔の写真だった。
「ずっとここに飾って、里美の事、想ってた。もう一度出会えたら、今度こそは離さない。そう思って生きてきた」
直哉さんの想いに触れ、私の瞳から、涙が一粒こぼれ落ちた。
こんなにも私の事を欲してくれているなんて思ってもみなかった。
「だから、里美との初めては大切にしたい。怖いとか、恥ずかしいとか思わなくていい。
こうやってずっと俺がそばにいるから怖くないよ。恥ずかしいと思うのは、俺も同じ。
ずっと大切に想ってきた子を目の前にして、全てをさらけ出すんだから。
ただ、さっきみたいに俺に全てを任せて。里美は、ただ、俺を感じて……」
直哉さんはペットボトルの水を口に含むと、それを棚の上に戻し、私の口にキスをしながら水を口に注ぎ込んだ。
口の中に流れ込む水を飲みながら、水と一緒に入ってきた舌を絡めると、再び私を組み敷いた。
「今度こそ、里美を全部ちょうだい……」
熱のこもった声に頷くと、キスが再び深くなる。私に掛けられていたタオルケットは剥ぎ取られ、再び素肌をさらけ出す。
背中のクッションも気が付けば床の上に落とされており、覆い被さる直哉さんは私の全身を貪り始める。
先程つけられた花びらは、次第にその数を増していく。その甘い痛みも今の私には媚薬だ。
先程初めて知った快感を、中毒になるくらい欲している。
胸の頂に走る刺激で、どうしようもなく身体が疼いている。
直哉さんを誘う甘い蜜がトロリと分泌されているのが自分でも分かるくらい、濡れている。
「……里美、いっぱい濡れてる。ナカを解すから、痛かったら言って」
直哉さんは身体を起こし私の反応を、表情を確かめながら、直哉さんは私の身体に快楽を与えていく。
圧迫感と初めて感じる感覚で反応する身体を、直哉さんはゆっくりと辛抱強く解きほぐしてくれる。
私の身体は、直哉さんの指を異物と認識して硬くなる。