心の鍵はここにある
高校時代ー出会いー

 今を遡る事14年前ーー

 私の父は転勤族で、中学二年の夏に高知県高知市から、父の地元である愛媛県松山市に異動となり、一家で松山に引っ越してきた。
 父は香川県高松市に本社のある運輸会社に勤務しており、異動は四国内だけだったけれど、幼少期より転勤で各地を転々としていた。
 私が小さい頃は、頻繁に出張等で家を空ける事の多かった父もそれなりの役職に就き、異動も県庁所在地のある大都市のみとなったのは、前回の異動からだ。
 父の異動が決まる度、引っ越し、転校を繰り返した私は、仲良くなった友達とのお別れが辛くて、いつも泣いてばかりいた。

 あの時、高知から松山に引っ越す事が決まった時も、お別れが辛くて父の異動が決まった日から、一人になると隠れてずっと泣いていたけれど……。
 松山に引っ越して、ここでも友達に恵まれた私は、友達と一緒の県立高校に無事合格した。
 愛媛県は、田舎に行けば私立高校が少ない事もあるけれど県立高校の方が偏差値が高い所もあり、そのような高校は受験の倍率も高くなり、合格発表があるまでは内心ヒヤヒヤしたものだ。

 松山には父方の祖父母が住んでおり、幼少期から夏休み等の長期休暇になると、よく泊まりがけで祖父母の家に遊びに行っていた。
 高校に進学すると、祖父母の家の近所に住む幼馴染にも再会し、楽しい高校生活が始まった。
 こちらに住む幼少期からの友人は、彼女だけだったので、とても心強かった。
 そして同じクラスになったその幼馴染、守野(もりの)さつきに誘われて、私はバレー部のマネージャーになった。

 さつきは、中学の頃から好きな先輩がいるとかで、その先輩を追いかけてこの高校に来たらしい。
 その先輩は同じバレー部の先輩だけど、ミーハーだと思われたくないからと、さつきは女子バレー部に入部した。
 そんなさつきに誘われて女子バレー部のマネージャーとして入部した筈なのに……。
< 16 / 121 >

この作品をシェア

pagetop