心の鍵はここにある
うちに寄ると言う事は、もしかしたら一緒に夕飯を食べるかも知れないので、二人分の夕飯の支度をしておこう。
もし仮に先輩の分がいらない場合、明日の弁当のおかずや夕飯に回せばいい話だ。
仕事帰りに、いつものスーパーで食材を買って帰ろうと、寄り道する。
そしてカートに乗せたカゴの中に、食材を入れて行く。余り沢山買うと、持ち帰るのにも一苦労なので、分量を考えながら。
何時頃来るかもわからないので、丼物ならすぐに温めて出せるかな。それとも何か他の物がいいかな。
悩みながらも今週末までの食材等の買い物をすすめ、帰宅した。
帰宅して目に付いた物を片付け、服も着替える。
カジュアル過ぎる格好もどうなんだろう……。先輩が来るなら可愛い格好の方がいいのかと思いながらも、手持ちの服は、殆どが地味なデザインや無地の服ばかり。やはりこれは春奈ちゃんに今度買い物に付き合って貰わなければ。
自分が似合わないと諦めた物も、他の人の目で見るとそんな事はない事はよくあるから。
春奈ちゃん目線で、私に似合いそうな服を見立てて貰おう。土曜日に帰省する時に時間があれば、さつきに買い物に付き合って貰おう。
とりあえず、膝より少し上の丈のスカートにレギンス、Tシャツに着替え、夕飯の支度に取り掛かった。
炊飯器にお米を2合セットしてスイッチを押す。先輩の食の好みがわからないけれど、きっと男の人なら仕事が終わって疲れている筈だからガッツリ食べたいだろう。
何時頃になるかもわからないし、私も暑さで体力の消耗が半端じゃないので、簡単に作れる親子丼に決めた。
栄養のバランスが偏ってしまうので、具材に野菜もふんだんに使ってみる。
……もはや親子丼とは言えないかも知れないけれど、メインの鶏肉と卵はあるので、先輩に何か言われても親子丼だと言い張ろう。
味だって、普通の親子丼に野菜が加わっただけで、美味しくない訳ではないし。
仕上げの卵は先輩がうちに来てからすればいいので、そこまでの段取りをしながら余った食材で、明日のお弁当のおかずを作る事にした。
おかずの作り置きをして小分けにして冷凍しておけば、しばらくの間、お弁当のおかずの心配がない。
最近の市販の冷凍食品は便利だし、味だって昔に比べると美味しくなったと思うけど、出来るだけ手作りで出費を抑えている。